ニシム・ド・カモンド美術館は、パリ8区の閑静な住宅の一画に建つ邸宅美術館です。主に18世紀後半のフランスの家具や調度品を展示しています。
ルイ15世からルイ16世にかけての時代におけるもっとも美しい家具調度品を展示しているともいわれ、見ごたえ十分。フランス建築、調度品、装飾品などが好きな方におすすめしたい美術館です。
ニシム・ド・カモンド美術館
イスタンブール出身のアートコレクター、モイズ・ド・カモンドの邸宅に作られたニシム・ド・カモンド美術館。建物も展示室も贅沢な装飾が施された美しい邸宅美術館です。
ニシム・ド・カモンド美術館ができるまで
美術館の名前になっている“ニシム”とはモイズの息子の名前です。
もともとコレクション収集に情熱を捧げていたモイズは、彼の父親が購入したこの邸宅をコレクション収納用に作り変え、さらに作品の購入頻度を上げコレクションを充実させていきました。
そんなモイズの優雅な生活は、息子ニシムが第一次世界大戦中に亡くなったことにより一変します。
すっかり気を落としてしまったモイズは、親しい友人らしか家に招き入れなくなり、家に閉じこもりがちになりました。
そんな生活を何年も続けた後に、息子との思い出が詰まったこの邸宅をコレクションごと寄贈することを決め、1935年に亡くなるまで作品収集に没頭したということです。
こうしてモイズの息子の名を冠したニシム・ド・カモンド美術館が誕生しました。
見どころ
プチ・トリアノンからインスピレーションを得た大邸宅
モイズのコレクションを収容するために建て直された邸宅は、フランス人建築家ルネ・サージェントによって設計されました。
サージェントはヴェルサイユ宮殿のプチ・トリアノンからインスピレーションを得てこの邸宅を作りました。特に正面ファサードはプチ・トリアノンを思い浮かべさせる作りになっています。
邸宅は美しさだけでなく、暖房設備やエレベーター、清潔なバスルームなど機能性や日常生活の送りやすさにも配慮された設計になっています。
住人の生活範囲と使用人のスペース、プライベートな空間とそれ以外を分けた合理的な作りなのも特徴的。
まさに20世初頭の快適でモダンな邸宅といえるモイズの館は、閑静な住宅街であるモンソー地区の中心に美しい姿のままで残る貴重な邸宅です。
18世紀後半のフランスの家具調度品
モイズは特に18世紀後半のフランスの調度品を好んでいて、コレクションの多くはそれらで占められています。
床にひかれた絨毯やタピスリーとして部屋の装飾にも使用されているゴブラン織りの絨毯は、フランスのボーヴェやオービュッソンで作られたもの。
オブジェが飾られたアンティークの木製家具や、数は少ないですがロカイユ装飾の家具などは飛び抜けて美しく優雅な装飾が施されています。
コレクションの中にはもともとはマリー・アントワネットが所有していたという貴重な品も含まれています。
2階の中心に作られたサロン(LE SALON DES HUET)にはフランス人画家ジャン・バティスト・ヒュエットの絵画が壁一面に飾られています。
天井からはクリスタルと金メッキブロンズが美しいシャンデリアが。サロンの美しさを際立たせているようです。
黄緑色とくすんだピンクの組み合わせが華やかな雰囲気を作り出している食堂には、多くのタピスリーが飾られています。
食堂の隣にある小さな部屋にはモイズの陶磁器コレクションが展示されています。モイズ自身によって整えられた、こだわりのコレクションです。
モイズがアートカタログや雑誌、評論を読んだという、3階中央の円形の図書室。
赤地に白い模様の入ったベロア調のイスとソファのセットは、以前はグース・スーラード司教の持ち物だったもの。とてもよい状態で保存されています。
右手に置かれている木製で革張りのスツールは、座席部分とその中にしまわれているはしごを組み合わせることで脚立になるという、便利かつエレガントな家具です。
この他にも、大広間や書斎、ニシムの寝室、青の間などがあり、見ごたえたっぷり。どの部屋も美しい装飾と貴重な調度品で飾られており、展示室を進むたびにため息がこぼれます。
あまり有名な美術館ではありませんが、かなり見ごたえのある訪れて損はない美術館です。
- アドレス
- 63 Rue de Monceau, 75008 Paris
- 営業時間
- 10:00〜17:30
- 定休日
- 月・火曜定休、1月1日、5月1日、12月25日
- 入場料
- 12€ オーディオガイド付き(日本語あり)
- (18歳未満は無料)
- ◇チケット購入はこちらから
- ニシム・ド・カモンド美術館チケット予約公式サイト
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 可能
- 公式サイト
- ニシム・ド・カモンド美術館
- 最寄り駅
- 地下鉄2番線
- モンソー(Monceau)駅 または ヴィリエ(Villiers)駅
ニシム・ド・カモンド美術館 / Musée Nissim de Camondo
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