アンヴァリッドは17世紀に傷痍軍人を受け入れる病院として作られた場所。1674年から傷痍軍人の受け入れが始まり、当時敷地内には病院、ホスピス、兵舎、礼拝堂などがありました。
現在では観光地として人気で、多くの人が訪れるパリ観光のマストスポットとなっています。ここではアンヴァリッド廃兵院の見どころ、行き方、営業時間、ナポレオンの墓についてなど、役立つ観光情報を紹介していきます。
目次
アンヴァリッド(廃兵院)って?

「アンヴァリッド(Les Invalides)」は、パリ7区にある歴史的建築・複合施設です。現在は軍事博物館、サン・ルイ教会、ドーム教会、ナポレオンの霊廟などを備える観光名所となっています。軍事博物館はパリの美術館入場者ランキングTOP5に入るほど人気の美術館です。
アンヴァリッドは、正式には オテル・デ・ザンヴァリッド(Hôtel des Invalides)と呼ばれ、通称アンヴァリッドとして親しまれています。
もともとは軍事病院・退役軍人施設として建てられたことから、戦争または公務のために傷痍を受けた人々を受け入れる施設を意味する「廃兵院」とも呼ばれています。
アンヴァリッドはどこにある?
アンヴァリッドはパリ7区のアレクサンドルⅢ世橋を渡ったところに位置しています。アンヴァリッドの敷地内からは、エッフェル塔を眺めることもできますよ。
アンヴァリッドへの行き方・最寄り駅
アンバリッドへは地下鉄でアクセスすることができます。最寄り駅は地下鉄8番線のラ・トゥール・モブール駅と13番線のサン・フランソワ・グザビエ駅です。
アンヴァリッドは敷地が広く、出入り口は2箇所あります。軍事博物館から見学したい人はラ・トゥール・モブール駅で下車、ドーム教会とナポレオンのお墓から見学したい人はサン・フランソワ・グザビエ駅で下車するといいですよ。
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アンヴァリッドの営業時間・定休日
アンヴァリッドは毎日営業しています。
月に一度だけ、夜間営業を行っていて、その時間帯は特別料金の10€で入場することができます。
アンヴァリッドの見学所要時間
アンヴァリッドには軍事博物館・ドーム教会(ナポレオンの墓は教会の中にある)とふたつの見学箇所があります。特に軍事博物館は展示内容が充実していて、見学に時間が必要です。
2箇所あわせて、最低でも2時間はみておきましょう。フランスの軍事史に興味がある人は、3時間ほど時間をかければ展示をじっくり楽しめます。
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アンヴァリッドの入場料・チケット予約
アンヴァリッドの入場チケットは、軍事博物館(特別展含む)・ドーム教会(ナポレオンの墓)すべてにアクセスできます。
軍事博物館だけ、またはドーム教会だけのチケットはありません。また、毎月第一金曜日は夜間営業を行っていて、10€の特別料金で見学できます。
アンヴァリッドの入場チケットは予約必須ではなく、現地の窓口で購入することもできます。しかし、人気の観光地なので、事前に予約しておくのがおすすめです。
チケット予約方法
チケットは公式サイトまたはチケット予約サイトから購入できます。チケット予約サイトからは日本語で購入できます。
パリミュージアムパスは利用できる?
アンヴァリッドはミュージアムパスの対象施設です。ミュージアムパスを持っている方は、チケットを購入せず入場することができます。
ミュージアムパスとは対象施設を好きなだけ回れる観光パスです。観光施設を回れば回るほどお得になるので、パリの観光スポットを思いっきり楽しみたい人にぴったりです。
ミュージアムパスについて詳しく知りたい方はこちらから。
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Klook.comアンヴァリッドの歴史
養老院兼病院として建設される
アンヴァリッドは 、ルイ14世の命で1671年に建設が始まりました。戦争で負傷・高齢になった兵士たち(=invalides)のための養老院兼病院の建設が目的です。
1674年に養老院兼病院の部分が完成し最初の入所者が迎えられますが、施設の拡張や礼拝堂の工事は継続しました。
兵士たちの教会と王室礼拝堂の建設
建設開始当初からリベラル・ブリュアンの設計で工事は進められましたが、ルイ14世の側近だったフランソワ=ミシェル・ル・テリエ(ルーヴォワ公爵)が1676年に若き建築家ジュール・アルドゥアン・マンサールを起用。
もともとルイ9世の遺体安置のために敷地内に教会建設が始まりましたが、マンサールは「兵士たちの教会(サン・ルイ教会)」と「王室礼拝堂(後のドーム教会)」というふたつの教会構成へと設計を変更。華麗なドームを中心に据えた現在の外観を確立しました。
兵士たちの教会は1679年ごろに使用開始、ドーム教会は最終的に1706年に完成・奉納されます。
兵士たちの教会と王室礼拝堂は隣り合っていますが、入り口や区画が別れているなど、明確な違いがありました。
王室礼拝堂から軍事霊廟への転身
フランス革命の際、アンヴァリッドは民衆により武器庫として利用され、王政的象徴であった王室礼拝堂もその機能を失います。
1821年、ナポレオンがセントヘレナ島で亡くなったあと、1840年にようやく遺体がフランスに返還された時、安置場所として選ばれたのが王室礼拝堂でした。この出来事により王室礼拝堂は軍事霊廟としての性格を持つようになり、ドーム教会として多くの軍人が埋葬されるようになりました。
ナポレオンの墓の建造
ナポレオンの墓は、建築家 ルイ・ヴィスコンティが設計を担当。大理石の円形地下空間を掘り下げ、中央に巨大な石棺(赤い石材:ポルフィリンに似たクォーツ岩)を安置しました。
1861年にナポレオンの遺骸が正式にこの霊廟に移され、現在の形が完成しました。それからすぐ、ドーム教会はアンヴァリッドの霊廟として世界中に知られるようになりました。
軍事博物館の開設
1872年には砲兵博物館がオープン、1896年には軍事歴史博物館が開設されます。このふたつを統合する形で、1905年に現在の軍事博物館が誕生しました。
現在のアンヴァリッドはほとんどが軍事博物館となっていますが、一部は今でも軍事病院としての役目を担っています。また、サン・ルイ教会でもミサや特別なセレモニーが開かれ、教会としての役割を果たし続けています。
さらに2024年からは、常設展示拡張のための工事も行われていて、展示内容がさらに充実したものになりそうです。楽しみですね。
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Klook.com見どころ
軍事博物館

軍事博物館は、もともとアンヴァリッド内にあった軍事歴史博物館(1896年設立)と、砲兵博物館(1872年設立)のふたつの博物館を統合する形で、1905年に誕生しました。
世界でもっとも充実した軍事クレクションを保有する美術館のひとつで、所蔵品数は約50万点。武器や武具、軍服など軍事に関わるものをはじめ、その時代を描いた絵画や装飾品などのコレクションにまで及びます。
ナポレオンに関するコレクションも豊富で、ナポレオンが実際に着た衣服や肖像画など、ナポレオンの生涯を見ることができます。
展示室は時代順に並んでいて、各戦場・遠征、展示品の種類、主要人物などによって細かく別れています。展示品の数がとにかく多く、事前にフランスの軍事史を少しでも知っておくとかなり美術館を楽しめます。
〈展示品の一部〉

【ナポレオンの展示室】
ドミニク・アングルによる「玉座のナポレオン」。月桂樹の冠がすぐ隣に展示されている。

【音楽室】
フランス革命期から第二帝政時代までの軍楽隊の楽器の変遷がみられる。

【武器の展示】
実際に軍隊で使用されていた武器が展示されている。剣、ピストル、槍などかなりの種類がある。

【解説パネル】
各戦争や遠征がどのように進んでいったのかを解説している。

【ナポレオン私物】
ナポレオンが実際にかぶっていた帽子と部屋着、遠征中のベッド。
ドーム教会とナポレオンの墓

もともと王室礼拝堂として建設され、ナポレオンの埋葬をきっかけに軍事霊廟となったドーム教会。
ドーム中央の地下に置かれているのがナポレオンの棺です。棺としてはかなり大きく、赤っぽい色の石材が特徴的。大理石の床にはローリエをモチーフにした装飾とともに、ナポレオンが勝利した戦いの名前が刻まれています。
- アドレス
- 129 Rue de Grenelle, 75007 Paris
- 営業時間
- 10:00〜18:00
- 夜間営業日
- 毎月第一金曜日
- 22:00まで
- 定休日
- 1月1日、5月1日、12月25日
- 入場料
- 17€
- ※夜間営業は10€
- ※18歳未満は無料
- チケット購入はこちらから ⇒ アンヴァリッドチケット予約公式サイト
- 日本語での購入はこちらから ⇒ アンヴァリッドチケット購入日本語サイト
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 可能
- 公式サイト
- アンヴァリッド
- 最寄り駅
- ◇地下鉄8番線
- ラ・トゥール・モヴール(La Tour Maubourg)駅 または エコール・ミリテール(École Militaire)駅
- ◇地下鉄13番線
- ヴァレンヌ(Varenne)駅
- ◇RER C線
- アンヴァリッド(Invalides)駅
アンヴァリッド廃兵院(軍事博物館) / Les Invalides(Musée de l’Armée)
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