サント・シャペルはシテ島のパレ・ド・ジュスティス(司法省)の敷地内に建つ礼拝堂。ゴシック建築の傑作ともいわれています。壁一面に施されたステンドグラスは息を飲むほどの美しさ。パリへ行ったら必ず訪れたい場所の一つです。
そんなサント・シャペルの歴史や見どころ、所要時間からチケット予約の方法まで詳しく解説していきます。
目次
ステンドグラスが美しすぎる礼拝堂「サント・シャペル」の歴史
聖遺物を収めるための礼拝堂の建設
サント・シャペルの建設が始まった正確な時期は不明ですが、1241年から1244年のあいだといわれています。フランス王ルイ9世(聖ルイ)が、十字軍の遠征やビザンツ皇帝を通じて獲得した、キリストの「聖遺物」、特に「キリストの茨の冠」や十字架の断片を納めるために、礼拝堂の建設を決意したのが始まりです。
現在サント・シャペルがある場所には当時王宮が建っていたため、その王宮内に礼拝堂を造ることが決められます。建設は建築家ピエール・ド・モントルイユらにまかせられました。
礼拝堂は1248年に完成、献堂式が行われました。工事は4〜7年で終わったと考えられ、当時としては驚異的な速さでした。
礼拝堂は上下2層構造になっていて、
下堂(低い階)=王宮の使用人や役人の礼拝用
上堂(高い階)=王族と聖遺物の安置所
に分かれています。
上堂はほぼ全面ガラス張りの大胆な設計が特徴的です。短期間で建造されたにも関わらず、建設上の欠陥は見られず、装飾にも手抜きのない見事な仕上がりは、13世紀のガラス芸術の傑作とされています。
フランス革命期の被害
14〜15世紀は王権とともに礼拝堂の権威も維持されましたが、フランス革命期には王権の象徴とされ、聖遺物は散逸してしまいます。多くはフランス国立図書館に移されましたが、その後ナポレオン時代に一部が再び教会へ返還されました。現在、茨の冠はパリのノートルダム大聖堂に保管(※2019年の火災時には無事に救出)されています。
建物の破壊は免れたものの、聖人像や装飾の一部が破壊され、尖塔(屋根上の塔)も撤去されてしまいました。礼拝堂としての役目も奪われてしまいます。
サント・シャペルの再建
19世紀前半になると、ゴシック建築を再評価する動きが高まりました。
とくにルイ・フィリップ王(在位1830〜1848)が「フランスの歴史的記念物の復興」を推進し、ヴィオレ・ル・デュックらによって大規模修復が行われました。その結果、失われた尖塔も再建され、サント・シャペルは現在のような姿を取り戻しました。
サント・シャペルは1862年には歴史的建造物に指定されています。さらに、1991年には「パリのセーヌ河岸」の一部としてユネスコの世界遺産にも登録されています。
サント・シャペルはどこにあるの?
サント・シャペルはセーヌ川の中洲シテ島に位置しています。まさにパリのど真ん中です。
正式にはサント・シャペルはパレ・ド・ジュスティス(司法省)の敷地内にあり、入場にはしっかりとした荷物検査があります。
サント・シャペルへの行き方・最寄り駅
サント・シャペルがあるシテ島には地下鉄が通っているので、地下鉄でのアクセスが便利です。
最寄り駅は4番線のシテ駅で、駅を出たら西へ向かって進むとすぐ正面に現れるのがサント・シャペルのある司法省の建物です。
サント・シャペルはパレ・ド・ジュスティスの敷地内にありますが、パレ・ド・ジュスティスの左手に専用の入口があるので、そちらから入場します。迷わないようにしてくださいね。
【サント・シャペルの場所を地図で見る⬇️】
サントシャペルの営業時間・休館日
サント・シャペルは季節によって営業時間が変わります。
サント・シャペルの所要時間
サント・シャペルは上下二層の礼拝堂からなっています。小さな礼拝堂なので見学にはそれほど時間はかかりません。30〜45分ほどあれば十分でしょう。
正式にはサント・シャペルはパレ・ド・ジュスティス(司法省)の敷地内にあり、入場にはしっかりとした荷物検査があります。そのため、入場に時間がかかる場合もあるので気をつけてくださいね。
サント・シャペルの見どころ

ルイ9世の命でキリスト受難の聖遺物を保存する目的で建造されたサント・シャペル。聖遺物とは聖人の骸骨や聖人が身につけたものなどゆかりのある品々のことです。
サント・シャペルに収められた聖遺物の中でもっとも高価なものが「茨の冠」。これ一つでサント・シャペルの建築費用を簡単に上回ってしまうほどの値段だったそう。
残念ながら、現在「茨の冠」はサント・シャペルで見ることはできません。1806年以降、「茨の冠」はノートルダム大聖堂に保管されていましたが、2019年の火災以降はルーヴル美術館に保管場所が移されています。
下層礼拝堂


入口を入ると、まずは多色装飾が施された下層礼拝堂になっています。
19世紀に行われた修復工事のおかげで、美しい色の多色装飾を見ることができます。
天井には紺色のベースにフランス王朝の百合の紋章が描かれています。柱にも同じく紺地に金の百合の紋章が描かれたものと、赤地に塔が描かれたものが交互に配置されています。
入口を入って左手に上層礼拝堂へと続く階段があります。ここを上ってサント・シャペル最大のみどころである上層礼拝堂へと向かいます。
細い螺旋階段になっているので、足元に気をつけてください。
下層礼拝堂にはギフトショップも置かれています。お土産購入はここで。
上層礼拝堂

全面が色鮮やかなステンドグラスと多色装飾で囲まれた礼拝堂は、入った瞬間思わず「わぁっ…!」と声を上げてしまいそうな美しさ。これほどまでに美しい状態のステンドグラスはほかでは見ることはできません。
ステンドグラスは全部で15枚(高さ約15m、総面積600㎡)あり、聖書の物語の場面が描かれています。物語は左から右、下から上の順で描かれています。順番に見てみましょう。
後方にある大きなバラ窓はヨハネの黙示録を表しています。

チケットは事前予約必須!
サント・シャペルはチケットの事前予約が必須です。
チケットは時間指定になっていて、指定時間から30分のあいだに入場しなければいけません。18歳以下で無料であっても、入場時間を確定させるための予約が必要です。
サント・シャペルの入場料・予約方法
サントシャペルの入場料は19€です。チケットは公式サイトもしくは観光サイトから予約可能です。
また、サント・シャペルとコンシェルジュリーがセットになったお得な入場チケットもあります。通常、サント・シャペル19€・コンシェルジュリー13€で合わせて32€となるところを25€で購入できます。
コンシェルジュリーはサント・シャペルのすぐ近くです。サント・シャペルは見学時間はそれほどかからないので、ふたつ合わせて見学するのがおすすめですよ。
チケット予約はこちらから
ミュージアムパスは使える?
サント・シャペルはミュージアムパスの利用が可能です。
ただ、ミュージアムパスを持っていてもチケットを予約する必要があります。入場は時間指定になっているため、入場時間を確定させるための予約をしなければいけません。料金は発生しないので心配いりません。チケットを持っていない場合、ミュージアムパスを持っていても入場できないので注意してください。
チケットを予約する際は【J’ai déjà un billet(I already have a ticket)ー 0€ 】の項目から予約してくださいね。
ミュージアムパスについて詳しく知りたい方はこちらから
〈ミュージアムパスの購入はこちらから ⬇️〉
\ 対象施設を知りたい人はこちらから /
毎月第一日曜日は無料(11月〜3月)
サント・シャペルは11月〜3月の第一日曜日は無料で入場できます。11月〜3月の第一日曜日に訪れる場合は、チケットの予約はできません。
◯フランスの第一日曜日は無料Day!
フランスでは毎月第一日曜日には美術館やモニュメントなどの多くの施設が無料で入場できます。すべての施設が対象ではありませんが、パリだけでも数多くの観光施設がその対象となっています。
無料ということもあり多くの人が訪れるため、人気の施設では行列ができることも。第一日曜日に対象の観光施設を訪れる場合は行列覚悟で訪れたほうがいいかも。
また、施設によっては無料であっても予約必須のところもあります。公式サイトをしっかり確認してくださいね。
◥◣ 第一日曜日に無料で入場できる施設を知りたい方はこちらから ◢◤
- アドレス
- 10 Bd du Palais, 75001 Paris
- 開館時間
- ◇4月〜9月
- 9:00〜19:00
- ◇10月〜3月
- 9:00〜17:00
- (入場は閉館時間の30分前まで)
- 定休日
- 1月1日、5月1日、12月25日
- 入場料
- 19€
- (18歳未満は無料)
- 11月〜3月の第一日曜日無料
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 可能
- 公式サイト
- サント・シャペル
- 最寄り駅
- 地下鉄4番線
- シテ(Cité)駅
サント・シャペル / Sainte-Chapelle
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