ブルス・ド・コメルス ピノーコレクションは2021年5月にオープンした新しいパリの現代アート美術館です。
フランスの実業家ピノー氏がこれまでに収集したアートコレクションが展示されています。
ピノー氏は有名な現代アートのコレクターで、ヴェネツィアにもパラッツォ・グラッシとプンタ・デ・ラ・ドガーナの二つの美術館を所有しています。
ブルス・ド・コメルスは彼の三つ目の美術館となります。

数世紀に渡る歴史が凝縮された場所
ブルス・ド・コメルスの建物の歴史は16世紀にまで遡ります。
現在ブルス・ド・コメルスが建っている場所には、16世紀、フランス王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスの邸宅が立っていました。
邸宅は後に解体されますが、メディシス家の富を象徴した「メディシスの柱」と呼ばれる巨大な柱は現在も残っており、美術館の南側に見ることが出来ます。
邸宅解体後は、18世紀に穀物取引所が建設され商業の中心として活躍しました。
当時は珍しい円形の建物が話題となったそう。

美術館内にあるこちらの二重階段は穀物取引所として建てられた当時のもので、館内でも最も古い部分になります。
他のきれいに改装された部分と比べると、階段の床部分はでこぼこしており、長い間使用されてきたことがはっきりと分かります。
穀物取引所としての重要性が徐々に薄れていく中、1889年のパリ万博に向けて改装されることが決まります。
この改装でガラスドームが加えられ、ほぼ現在のような姿になりました。
パリ万博終了後は商品取引所(=ブルス・ド・コメルス)として使用されてきましたが、21世紀に入りデジタル化に伴いその役目を終えました。
そんな歴史的建築物にも指定される建物が、ブルス・ド・コメルス ピノーコレクションとして生まれ変わりました。

見どころ
パリの新しいアートスポットとしてパリジャンの中でも話題になっているブルス・ド・コメルス。
週末は入場の列ができるほどの人気ぶりです。
そんな現代アートの新スポットの見どころを見ていきましょう。
ピノー氏の膨大なコレクション
ピノー氏は1万点以上もの現代アートのコレクションを保有しており、それらが随時公開されていくようです。
コレクションは絵画、彫刻、写真、オブジェ、映像、音響作品など多岐にわたり、美術館では一つのジャンルにとどまらず、様々な作品を見ることができます。

ガラスドームとフレスコ画
歴史ある美術館の建物の一番の見どころは、建物の中央部分のガラスドームとその周りのフレスコ画です。
天気のいい日はガラスドームの金属フレームが美術館内にきれいな影を映して、これもまた一つのアートのようになります。

ガラスドームのドーム部分には巨大なフレスコ画が描かれています。
パリ万博開催時に作成された四大陸を描いたこのフレスコ画。見応えたっぷりです。
ドーム下の空間をぐるっと囲むように作られた円形の壁には階段が設置されており、上へ登っていくとより間近でフレスコ画を見ることが出来ます。

手すりに止まっているハトは飾りかと思いきや、アート作品の一つで剥製だそう。
安藤忠雄氏設計の美術館

美術館のオープンにあたって、建物の設計改装を担当したのは日本が誇る建築家 安藤忠雄氏です。
工事には3年以上もの期間が費やされました。
安藤氏は円形の建物の中にもう一つ円形の筒を入れるという選択をしました。それにより展示空間を区切るとともに展示室をつなぐルートが作られています。
歴史ある建物とむき出しのコンクリという現代的な資材が見事に融合しています。
また、ヴェネツィアにあるピノー氏の2つの美術館も、設計を担当したのは安藤氏です。
基本情報
ブルス・ド・コメルス ピノーコレクション / Bourse de Commerce – Pinault Collection
- アドレス
- 2 Rue de Viarmes, 75001 Paris
- 営業時間
- 11:00〜19:00
- 夜間営業日
- 金曜日
- 21:00まで
- 定休日
- 火曜定休、5月1日
- 美術館入場料
- 14€
- 毎月第一土曜日17:00〜21:00のみ無料
- ◇チケット購入はこちらから
- ブルス・ド・コメルス予約公式サイト
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 利用できません
- 公式サイト
- ブルス・ド・コメルス
- 最寄り駅
- ◇地下鉄1番線
- ルーヴル リヴォリ(Louvre – Rivoli)駅
- ◇地下鉄4番線
- レ アール(Les Halles)駅
- ◇地下鉄7・11・14番線
- シャトレ(Châtelet)駅
- ◇RER A線・B線・D線
- シャトレ レ アール(Châtelet – Les Halles)駅
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