古き良きパリの姿を残すパッサージュは観光客にも人気のスポットです。
パリには現在、数十箇所のパッサージュがありますが、どこも観光客に人気のスポットとなっているわけではありません。
昔の姿を残したままひっそりと静かに存在しているパッサージュもあります。
そんなパッサージュの一つが、今日ご紹介するパッサージュ・デュ・ブール・ラベです。
パッサージュ・デュ・ブール・ラベ / Passage du Bourg l’Abbé
1828年に作られたパッサージュ・デュ・ブール・ラベ。
当時は今よりも長いパッサージュだったそう。
周辺の道路が開発されるにつれて、パッサージュの長さが削られ、今は47mの長さしかありません。
現在は、パレストロ通りとサン・ドニ通りの間を結んでいます。
開発はさらに進み、すぐ近くにあったもうひとつのパッサージュ、passage Saucèdeも開発のために姿を消しています。
時代の変化とともにパッサージュ自体の衰退がさらに進み、1980年代頃からパッサージュ・デュ・ブール・ラベの商業スペースはだんだんと倉庫のように扱われるようになり、客を惹きつける要素を失っていきました。
1990年にはパッサージュ内で火災が発生しましたが、火災による損壊が修理されることはなく、その後何年もほとんど放置されたような状態でした。
というのも、金銭的な面で修復工事を行う目処が立たなかったのだそうです。
2002年にやっとで改修工事が始まり、7年をかけてパッサージュ全体がリノベーションされました。
こうして今は、派手さはありませんが趣のあるパッサージュの姿を取り戻しています。
ですが百貨店などの誕生により人々のパッサージュ離れはさらに進んでおり、かつての賑やかさはない静かなパッサージュとなっています。
パレストロ通りの入口ファサードは、1863年に新しくアンリ・ブロンデルによって建設されたものです。
反対側のシンプルな入り口に比べ、二体の大きな彫刻が飾られた威厳ある立派な構えです。
ブロンデルは、現在は美術館へと改装されたブルス・ド・コメルス を設計した建築家でもあります。
写真左は、パリに残る最後の家具職人と言われる Ivan Lulli さんのアトリエ。
この地域で育ったというルリさんは、父親の代から続く、パリでは貴重な家具職人です。
このパッサージュを通る人の多くがアトリエの前で足を止め、中の様子を興味深そうに眺めるのだそう。
統一された店構えにすずらんのような形をした街灯からレトロな印象を受けるパッサージュ・デュ・ブール・ラベ。
ガラス天井から光が差し込むおかげで明るくレトロなパッサージュですが、人通りが少なく、ちょっぴり寂しさも感じさせる通りです。
しかし、パッサージュの大部分は歴史的建造物に指定されており、建築物としてはとても価値のあるものですので、近くへ行く際はぜひ訪れてみてください。
INFORMATION
公式サイト・・・PASSAGE DU BOURG-L’ABBÉ
営業時間・・・月曜日〜土曜日 7:30〜19:30
アドレス・・・120 Rue Saint-Denis, 75002 Paris