パリでルーヴル美術館についで人気の美術館といえばオルセー美術館です。
オルセー美術館ではざっくり分けて、2月革命(ウィーン体制崩壊のきっかけとなったフランスの革命)のあった1848年から第一次世界大戦が勃発した1914年までの作品を展示しています。
この期間は印象派や後期印象派(ポスト印象派)、写実主義、自然主義などのジャンルの絵画が発展した時期です。
特に印象派などは人気のジャンルで、それを目当てにオルセー美術館を訪れる人も多くいます。
またオルセー美術館といえば、駅舎を改築して作られた特徴的な建物も人気の理由の一つ。
館内は中央が吹き抜けになった開放的な作りで駅舎の名残がところどころに見られます。
ルーヴル美術館はとても広いので一度で全て見学するのは不可能などと言われますが、オルセー美術館は一度で全て見て回ることができ、なおかつ、絵画、彫刻、工芸品、建築とジャンルも豊富なのでしっかりアートに触れたという充実感を得られる美術館です。
そんなオルセー美術館で見ることが出来る有名作品をご紹介します。
オルセー美術館で見ることが出来る有名作品
ここからはオルセー美術館に展示されている有名作品を作者ごとに紹介していきます。
みなさんが知っている作品がたくさんあると思うので、オルセー美術館でどんな作品が見られるのかチェックしてくださいね。
フィンセント・ファン・ゴッホ
まずは後期印象派を代表するオランダ人画家、ゴッホです。
大胆な色使いとタッチが特徴的で、近代美術の基礎を築いた人物と言われています。
日本でも最も名の知れた画家の一人ではないでしょうか。
画家を志したのは20代後半のことで、それから37歳の若さで亡くなるまでに多くの作品を残しました。
みなさんも一度はどこかで目にした作品があると思います。
オルセー美術館で見ることが出来るゴッホの主な作品
- 自画像
- 医師ガシェの肖像
- ウジェーヌ・ボックの肖像
- モンマルトルのカフェのテラス
- ファン・ゴッホの寝室
- ローヌ川の星月夜(星降る夜)
- オーヴェルの教会
- イタリアの女
ちなみにゴッホが描いた「自画像」はいくつもありますが、オルセー美術館には二つ展示されています。
また、「ファン・ゴッホの寝室」という名前の作品も三つあり、オルセー美術館で見ることが出来るのは、小さいサイズで複製して描かれたものです。
ポール・セザンヌ
セザンヌは、カミーユ・ピサロやエドゥアール・マネら印象派の画家から強く影響を受けて印象派として活動をはじめましたが、後期印象派の画家の一人として数えられています。
1880年代頃から独自の画法を追求するようになり、最終的にはキュビズムなど20世紀美術に大きな影響を与えたと言われています。
このことから“近代絵画の父”とも言われています。
オルセー美術館で見ることが出来るポール・セザンヌの主な作品
- 吊るされた男の家
- アシル・アンプレールの肖像
- 田園詩
- オーヴェルのガシェ医師の家
- モデルヌ・オランピア
- 聖アントニウスの誘惑
- トランプをする人々
ポール・ゴーギャン
ゴーギャンは後期印象派のフランス人画家です。
アルルでゴッホと共同生活を送った際に起きた耳切事件が有名。
マルティニーク島やタヒチなどに滞在して画家活動を行い、現地住民をモデルとした絵も多く残しています。
また、ここまでに紹介したゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンは三大後期印象派画家と言われています。
初期の頃は印象派の影響を受けながらも後に独自の路線を進み、後期印象派を代表する画家にまでなっています。
オルセー美術館で見ることが出来る ポール・ゴーギャンの主な作品
- アレアレア(愉び)
- タヒチの女(浜辺にて)
- ヴァイルマティ
- 海の景色と岩場の牛
- レザリスカン
- 麗しのアンジェル(サトル夫人の肖像)
クロード・モネ
モネは、“印象派”という名前のもとになった作品「印象・日の出」などで有名です。(「印象・日の出」はマルモッタン・モネ美術館に展示されています。)
印象派を代表する画家であるモネの作品もオルセー美術館には多く展示されています。
モネといえばパリ郊外のジヴェルニーにあるアトリエと庭も人気の観光地となっていますが、オルセー美術館ではそこで描かれた「睡蓮」などを見ることができます。
オルセー美術館で見ることが出来るクロード・モネの主な作品
- ルーアン大聖堂
- 青い睡蓮
- 睡蓮の池、バラ色のハーモニー
- 睡蓮の池、緑のハーモニー
- ジヴェルニーのモネの庭
- 昼食
- 草上の昼食
- 積みわら、夏の終わり
- 庭の中の女たち
- ひなげし
- 日傘の女
モネの代表作の一つである「睡蓮」は、オルセー美術館には三つ展示されています。
「青い睡蓮」「睡蓮の池、緑のハーモニー」「睡蓮の池、バラ色のハーモニー」です。
エドゥアール・マネの同名の作品からインスピレーションを受けて描いたという「草上の朝食」。
こちらはもともと縦5m横7m近くのサイズの大作として製作が始まりましたが、結局完成しないままモネの手元を離れたのだそう。
そして数年後に絵を取り戻した際に、損傷の激しかった部分をモネ自身が切り取り、現在のような分割された形になりました。
それで二枚の大きさの違う絵に分かれているんですね。
エドガー・ドガ
ドガはフランス出身の印象派の画家です。
バレエを題材とした絵を多く残しており、その多くは練習風景や舞台裏での様子を描いたものです。
ドガは裕福な家に生まれたため、バレエやオペラなど上流階級の嗜好にふれる機会が多かったことが影響しているようです。
オルセー美術館で見ることが出来るエドガー・ドガの主な作品
- バレエのレッスン
- ダンス教室
- 踊りの花形
- アブサン
- オペラ座のオーケストラ
エドゥアール・マネ
“印象派の先駆者”といわれているエドゥアール・マネの作品もいくつもオルセー美術館に収蔵されています。
発表当時は賛否両論あった「草上の昼食」や「オランピア」は印象派の画家らに大きな影響を与え、そのことが“印象派の先駆者”との呼び名に繋がっています。
ブルジョワの裕福な家庭に生まれたマネは、両親の反対を受けながらも画家の道に進んだのだそう。
ジャポニズムの影響を受けたマネの絵画の中には、背景に浮世絵など日本のモチーフが描かれているものもあります。
なんだかシンパシーを感じますね。
オルセー美術館で見ることが出来るカ エドゥアール・マネ の主な作品
- 笛を吹く少年
- オランピア
- 草上の昼食
- バルコニー
- エミール・ゾラの肖像
- すみれの花束をつけたベルト・モリゾ
ピエール=オーギュスト・ルノワール
ルノワールは印象派の画家と言われていますが、後期印象派と言われることもあります。
日本でもとても有名なので、一度はルノワールの作品を目にしたことがあると思います。
優しいタッチと色使い、木漏れ日や自然光が忠実に表現されているのが特徴です。
オルセー美術館で見ることが出来るピエール=オーギュスト・ルノワールの主な作品
- ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会
- ダラス夫人
- 田舎のダンス
- ピアノを弾く少女たち
- ぶらんこ
- ヴェールを被った若い女
- 座る若い娘
- 都会のダンス
ルノワールの代表作でもある「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」に描かれている人物は、ルノワールの友人たちなのだそう。
“ムーラン・ド・ラ・ギャレット”とはパリのモンマルトル地区に存在したダンスホールです。
アルフレッド・シスレー
シスレーはパリ生まれのイギリス人画家です。
パリ周辺の風景を題材にした絵がほとんどで、人物画などの作品がほとんどないのが特徴です。
多くの画家は途中で画風が変わるなどの変化が見られますが、シスレーは印象派の技法を最初から最後まで貫いた珍しいタイプの画家。
そのことから最も印象派らしい画家とも言われています。
オルセー美術館で見ることが出来るアルフレッド・シスレーの主な作品
- ルヴシエンヌの雪
- モレのロワンの運河
ポール・シニャック
シニャックは光と色を表現する点描画法が特徴的な新印象派を代表する画家です。
海が好きだったシニャックは、南仏のリゾート地サン・トロペなどに滞在し、港や海の風景を多く描いています。
また、セーリングでいくつもの港を回り、各地でスケッチを描いては持ち帰り、サン・トロペのアトリエでそれらの絵を仕上げていったそう。
オルセー美術館で見ることが出来るポール・シニャックの主な作品
- 日傘の女
- アヴィニョンの教皇庁
- 井戸端の女たち(井戸端のプロヴァンス嬢)
- ジャンヌビリエの道
- レ・ザントリー、河堤
- 赤い浮標
トゥールーズ=ロートレック
ロートレックは後期印象派の画家の一人で、カラフルな色彩が特徴です。
パリのボヘミアンライフを主に描いたロートレックの作品は、絵画だけでなくポスターなども多くあります。
モンマルトルのキャバレー ムーラン・ルージュのために作成したポスターなどはロートレックの代表作となっています。
オルセー美術館で見ることが出来るトゥールーズ=ロートレックの主な作品
- ベッド
- 黒いボアの女
- 俳優アンリ・サマリー
- 手袋を持つ女性
- 踊るジャンヌ・アヴリル
- 女道化師シャユカオ
ギュスターヴ・モロー
モローは聖書や神話から題材を得た作品が特徴的な象徴主義の画家です。
パリ9区には、モローの自宅を改装して作られたギュスターブ・モロー美術館もあり、多くの作品を見ることができます。
興味のある方はそちらもぜひ行ってみてください。
オルセー美術館で見ることが出来るギュスターヴ・モローの主な作品
- オルフェ
- ガラテイア
- ヘシオドスとムーサ
オーギュスト・ロダン
“近代彫刻の父”と呼ばれるロダンの作品も、オルセー美術館で見ることができます。
「考える人」に代表されるロダンの作品は世界中で見られるので、みなさんも一度は見たことがあるかもしれません。
ロダンといえば同じくパリのロダン美術館が有名。ロダンの作品のほとんど全てはロダン美術館で見ることができます。
じゃあオルセー美術館にも同じ作品があるのはどうしてなの?と思うかもしれませんが、それに関してはフランスの法律で定められた決まりがあります。
彫刻作品は石膏原形から鋳造することでオリジナルと全く同じ作品を作り出すことができるわけですが、フランスでは知的財産権に関する法律で、鋳造に関して12体までをオリジナルと認める、と定められています。
そういうわけで、ロダンの作品に限らずいくつもオリジナル作品が世界中で展示されているのですね。
オルセー美術館で見ることが出来るオーギュスト・ロダンの主な作品
- 歩く男
- ヴィクトル・ユゴー
- 地獄の門
- バルザック
アントワーヌ・ブールデル
ブールデルはロダンの弟子でもあった人物で、ロダンも認めた彫刻家です。
パリ15区のモンパルナス駅のほど近くには、ブールデルの住居兼アトリエを改装して作られた美術館もあります。
ブールデルが使っていたアトリエも見学することが出来る、彫刻好きの方にはとてもおすすめの美術館です。
オルセー美術館で見ることが出来るアントワーヌ・ブールデルの主な作品
- 弓をひくヘラクレス
- Le Bélier rétif
- L’Offrande
- ペネロープ
基本情報
オルセー美術館 / Musée d’Orsay
- アドレス
- 1 Rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris
- 開館時間
- 9:30〜18:00
- 夜間営業
- 6月8日〜7月25日の木曜日のみ21:45まで
- 定休日
- 月曜定休、5月1日、12月25日
- 入場料
- 16€
- (18歳以下は無料)
- 予約はこちらから ⇒ オルセー美術館チケット予約公式サイト
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 可能
- 第一日曜日無料
- 公式サイト
- オルセー美術館
- 最寄り駅
- ◇地下鉄12番線
- ソルフェリーノ(Solférino)駅
- ◇RER C線
- オルセー美術館(Musée d’Orsay)駅
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