ジャックマール・アンドレ美術館は19世紀に建てられた邸宅内に作られた美術館です。
ブルジョワが暮らした空間がそのまま残された瀟洒な建物の中には、ここで暮らしたエドゥアール・アンドレとネリー・ジャックマール夫妻が収集したコレクションが展示されています。
有名な美術館ではありませんが、当時のままの邸宅に、美しい調度品や絵画の数々。
かなり見ごたえのある美術館です。

ジャックマール・アンドレ美術館の成り立ち
エドゥアール・アンドレは裕福な銀行家のもとに生まれたブルジョワ、ネリー・ジャックマールは自画像画家として活躍するアーティストでした。
アンドレが自画像の制作をジャックマールに依頼したことで、二人は出会い、やがて結婚します。
全く違う境遇で育った二人でしたが、芸術という共通の趣味を持っており、大変豊かな結婚生活を送ったそう。
二人には子供がいなかったことから、世界中を回って芸術コレクションを収集することに情熱を注ぎました。
二人は収集したコレクションを保管する場所として、所有していた邸宅を改装し、それが現在のジャックマール・アンドレ美術館になっています。

見どころ
イタリア美術館

邸宅の持ち主だったエドゥアール・アンドレは、イタリア ルネサンスへ強い関心を持っており、多くの絵画や彫刻を収集しました。
それらが展示されているのが、2階にあるイタリア美術館と呼ばれる展示スペースです。
ドナテルロの彫刻をはじめ、ボッティチェルリ、ベリーニ、マンテーニャ、ウッチェロらのイタリア美術の作品が100点以上も展示されています。
図書室と音楽室

舞踏会なども行われたという音楽室は当時の建築の特徴をそのまま残しており、赤い壁と濃い色の木製の家具が重厚な雰囲気を醸し出しています。
吹き抜けの天井には、一面に重々しい色使いの天井画が描かれています。
全体に荘厳な空気を感じさせる部屋ですが、大きな窓から入る光のおかげで明るい空間になっています。
美術館1階の最も奥にあるネリの寝室として使われていた部屋は、現在は図書室として公開されています。
図書室にはオランダ出身の画家ヴァン・ダイクやレンブラントの作品が展示されています。
美しい装飾階段から続く温室「冬の庭園」


この美術館のシンボルとも言える階段は、建物の中央に配置するのが主流だった当時にしては珍しくアパルトマンの最後に設置されています。
階段には美しい曲線の手すりと細かい装飾が施されており、大理石で出来た重厚な階段でありながら、軽やかで神秘的な雰囲気に仕上がっています。
階段上部の巨大なフレスコ画も必見です。
階段を降りると、エキゾチックな植物がたくさん置かれた温室、「冬の庭園」へと続きます。
重厚な作りの部屋が続くこの美術館の中で、植物に囲まれてほっと一息つけるような空間です。
カフェレストラン Café Jacquemart-André
美術館内にはカフェレストランが併設されています。
邸宅のダイニングだった場所をそのままレストランとして使用しているので、タピスリーや絵画を眺めながら食事をいただくことが出来ます。
美しい装飾が施された空間ですが、雰囲気は堅苦しくなく、子供用メニューなどもあるので、家族連れの方にもおすすめのレストランです。
パティスリーメニューも充実しており、ティータイムにもぴったりです。
パリジャンにも人気のスポットで、週末は行列ができるほどの賑わいです。
平日を狙っていくか、ランチタイムから少し時間をずらして行くことをおすすめします。
カフェやレストランを併設する美術館は多くありますが、ブルジョワの暮らした空間をそのまま感じられるお店はなかなかありません。
美術館併設レストランの中でもCafé Jacquemart-Andréはイチオシのレストランです。
基本情報
ジャックマール・アンドレ美術館 / Musée Jacquemart-André
- アドレス
- 158 Boulevard Haussmann, 75008 Paris
- 営業時間
- ◇美術館
- 10:00〜18:00
- ◇レストラン
- ・月曜日〜金曜日
- 11:45〜17:30
- ・土曜日
- 11:00〜17:30
- ・日曜日
- 11:00〜14:30(ブランチ)
- 夜間営業日
- 月曜日(特別展開催期間中のみ)
- ◇美術館
- 10:00〜20:30
- ◇レストラン
- 10:00〜19:00
- 定休日
- なし
- 美術館入場料
- 12€(特別展開催中は15€)
- 7歳以下は無料
- チケット購入はこちらから ⇒ ジャックマール・アンドレ美術館チケット購入ページ
- パリ・ミュージアムパスの利用
- 利用できません
- 公式サイト
- ジャックマール・アンドレ美術館
- 最寄り駅
- 地下鉄9番線
- ミロメニル(Miromesnil)駅
または サン=フィリップ・ド・ルール(Saint-Philippe du Roule)駅
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