セーヌ川にかかる数々の橋の中で、もっとも長い歴史を持つのが「ポン・ヌフ」です。ポン・ヌフはフランス語で“新しい橋”を意味しますが、実はパリに現存する橋で一番古い橋なんです。
重厚で堂々とした佇まいは写真スポットとしても人気。パリ観光中に何度も通るであろう、ポン・ヌフの歴史と見どころを紹介していきます。
目次
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パリ最古の橋「ポン・ヌフ」って?

ポン・ヌフは、パリの中心を流れるセーヌ川にかかる石造りの橋です。完成したのは1607年で、なんと400年以上前から人々の暮らしを見守ってきました。
橋の中央部分はシテ島を通り、左岸と右岸を結んでいます。ポン・ヌフは12のアーチで構成され、全長は232メートル。白い石灰岩で作られた美しいアーチは、時代を経ても変わらぬ優雅さを保っています。
特徴は、当時としては珍しかった歩道つきの設計。パリジャンだけでなく旅行者にも愛される歴史ある橋です。
ポン・ヌフはどこにあるの?
ポン・ヌフは、セーヌ川の中州「シテ島」の西端に位置しています。シテ島といえばノートルダム大聖堂があることで有名ですが、その反対側にあるのがポン・ヌフです。左岸(サンジェルマンデプレ側)と右岸(ルーブル美術館側)をつなぐ、まさにパリの中心にあります。
ポン・ヌフへの行き方・最寄り駅
最寄り駅は地下鉄7番線のポン・ヌフ駅。駅を出ると目の前に橋が見えるので、迷うことはありません。
また、ルーヴル美術館やノートルダム大聖堂からは徒歩で行ける距離なので、観光の途中に散歩がてら立ち寄るのもおすすめです。
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ポン・ヌフの歴史とは?400年以上愛され続けるセーヌの象徴

ポン・ヌフの建設は1578年、アンリ3世の時代に始まりましたが、完成したのはアンリ4世の時代。名前の「ヌフ」は“新しい”という意味で、当時の最新技術を使った橋だったことを示しています。
馬車や人が安全に行き来できるように歩道を備えたのは当時としては画期的なことでした。今でもシテ島とポン・ヌフが交わる広場には建設を完成させたアンリ4世の騎馬像があり、歴史を感じさせてくれます。
ポン・ヌフ建設の背景・経緯
ポン・ヌフの歴史は、16世紀末のパリにさかのぼります。当時、パリの中心を流れるセーヌ川には多くの橋がありましたが、ほとんどが家や店舗で覆われた「家付き橋」でした。これらの橋は通行が狭く、火事や洪水のリスクも高かったのです。
当時のパリは都市の拡張や商業の発展が進む一方で、街の混雑や衛生面の問題があり、「安全で使いやすい橋」が求められていたのです。
ポン・ヌフ建設の命令を出したのはフランス王アンリ3世(在位1574~1589年)。しかし実際の建設はアンリ4世(在位1589~1610年)の時代に進められました。アンリ4世は国民のあいだで人気が高く「アンリ大王」や「良王アンリ」などと呼ばれ親しまれた王です。1959年から発行された50フラン紙幣では肖像が採用されていました。
国王への反乱が起きるなど、工事を中止さざるを得ない状況が続き、1588年から1598年までの10年間は工事が中断されたままでした。1599年に工事は再開し、その指揮をギヨーム・マルシャンとフランソワ・プティが引き受けました。
当時の政治的混乱や資金不足などの理由で、最終的に完成まで約30年かかりました。1607年に完成したとき、パリジャンたちは「新しい橋=ポン・ヌフ」と呼び、街のシンボルとして親しまれるようになりました。
画期的な設計
ポン・ヌフが他の橋と大きく異なるのは、以下の点です。
ポン・ヌフは住宅や商店のない橋として建設されましたが、完成から19世紀なかばまではいくつかの商店が橋の上にあったそう。最後の商店がなくなったのは1854年頃です。
ポン・ヌフは単なる交通のための橋ではなく、都市計画の革新、芸術性、歴史的価値を兼ね備えた建造物です。400年前のパリの景色や市民の暮らしを想像し、歴史の重みを感じながら歩きたいですね。
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ポン・ヌフの見どころを紹介!セーヌ川の絶景と彫刻

見どころはなんといっても、橋の上から眺めるセーヌ川の景色。昼間は川岸を歩く人々の姿、夜になるとライトアップされたエッフェル塔やシテ島のきらめきが楽しめます。
ポン・ヌフからは、ルーヴル美術館、オルセー美術館、ノートルダム大聖堂など、パリの象徴的な建物を一望できます。また、セーヌ川を行き交う遊覧船やペニッシュ(川船住宅)を眺めるのも楽しみの一つです。
ポン・ヌフはただの橋ではなく、パリ最古の石造り橋として建築的にも非常に興味深いスポットです。歩くだけで歴史や工夫を感じられるのが魅力です。
建築的見どころ
ポン・ヌフは完成当時「新しい橋」と呼ばれただけあって、建築的にも斬新で見どころが詰まっています。ポン・ヌフを渡るときは、ぜひ建築的特徴にも注目してくださいね。
●アーチ構造
ポン・ヌフは石造りのアーチ橋で、12のアーチで両岸を繋ぎます。
橋の全長は約232メートル。アーチの形状が荷重を分散し、洪水にも耐えられる堅牢な設計です。アーチは微妙に大きさが違い、低いアーチは川面を近くに感じさせ、高いアーチは川の流れを広く見渡せる視覚的な工夫もあります。
●マスク(仮面)彫刻

橋の欄干には「マスク(マスカロン)」と呼ばれる顔の彫刻が並んでいます。マスクは全部で381あり、すべてが違う顔をしています。当時の芸術家たちは膨大な数のマスクの顔面をすべて違うものにするのに苦労したでしょうね。
現在橋についているマスクは、1851〜1855年、および1993〜1994年の改修工事で設置されたものでオリジナルではありません。
もともとマスクは384ありましたが、そのうちの3つと円形の石造りのベンチは、現在、パリ20区にある「プティット・リゴル公園」に設置されています。
●アンリ4世の騎馬像

1614年、マリー・ド・メディシスによってアンリ4世の騎馬像が橋のシテ島のたもとに設置されました。しかしフランス革命中に、大砲の材料とするために溶かされてしまいます。
王政復古時代にルイ18世が像の再建を呼びかけ、1818年に新たなアンリ4世の騎馬像が完成しました。これが現在も橋にある騎馬像です。
●セーヌ川との調和
ポン・ヌフはセーヌ川の流れを計算して建設されていて、橋脚の形状や配置が水の抵抗を減らすように工夫されています。川面に映る橋の姿は、昼も夜も美しく、パリらしい景観を楽しめます。
このように、ポン・ヌフは機能性・安全性・芸術性・景観のすべてを兼ね備えた橋です。単なる通行路としてではなく、建築物としてもじっくり観察すると面白いスポットになります。
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Klook.comポン・ヌフを舞台にした映画「ポン・ヌフの恋人」
ポン・ヌフは映画や文学作品の舞台にもたびたび登場しています。なかでも有名なのがレオス・カラックス監督の「ポンヌフの恋人」。
橋の上で出会った若者たちの激しい恋を描き、橋の美しい夜景と共に語り継がれています。主人公二人のポン・ヌフでのホームレス暮らしや二人の純粋で真っ直ぐな気持ちが心に残る映画です。
パリを訪れる前にぜひ見ておきたい映画ですね。
ポン・ヌフは人気の写真スポット

写真が好きな人にはポン・ヌフは最高の写真スポット!橋の上からはルーヴル美術館やシテ島の風景が一望できます。夕暮れ時は特におすすめで、空の色がセーヌ川に映り込みロマンチックな写真が撮れます。
橋の歩道部分には半円形のバルコニーが造られていて、こちらも写真映えするスポットです。街灯とシテ島をバックに写真を撮りたいですね。
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Klook.comポン・ヌフ周辺の観光スポット
ポン・ヌフはパリのど真ん中に位置しているため、周辺に観光の定番スポットがたくさんあります。徒歩圏内にいくつも重要な観光スポットがあるので、地下鉄は使わず、景色を楽しみながら歩いて移動するのもいいですよ。
ルーヴル美術館

世界最大級の広さと所蔵作品数を誇る美術館。パリに行ったらここを訪れずには帰れないマストスポットです。
ノートルダム大聖堂

火災の修復工事を終え、2024年に一般公開が再開されたノートルダム大聖堂。今もっとも行列ができる熱いスポットといえるかもしれません。
サント・シャペルとコンシェルジュリー

シテ島にあるゴシック様式の最高建築ともいわれるサント・シャペルと、マリー・アントワネットが幽閉された牢獄として有名なコンシェルジュリー。どちらもフランス史に残る重要な建築物です。
サント・シャペルとコンシェルジュリーはお得に見学できるセットチケットがあるので、そちらを購入するのがおすすめです。
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Klook.comポン・ヌフ周辺の治安

ポン・ヌフ周辺は観光地として整備されていて、昼間は比較的安全です。ただし、観光客が集まるためスリが発生することがあります。貴重品はバッグの中にしまい、注意しながら散策すると安心です。
セーヌ川沿いは昼夜通して比較的人通りはありますが、ひとつ道を入るととたんに静かになります。夜間は大通りを歩くようにしてくださいね。
ポン・ヌフ周辺の治安
・観光地でもあるため、比較的治安はいい
・観光地特有の軽犯罪(スリ・置き引き・詐欺)には注意が必要
・夜間は小さな路地は避けて大通りを通って